BABYMETALとさくら学院に出会った

いろんなテーマで、BABYMETALとさくら学院への愛を語ります。

Aiko Yamaide LIVE Diary Vol.1

 

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8月19日、山出愛子さんのソロ・ライブ「LIVE Diary Vol.1」の昼公演に行かせて頂きました。7月からスタートした同シリーズライブの第2弾になります。

 

会場の渋谷gee-geは最大でもキャパシティ130人ほどのライブハウス。整理番号が100番に近かった自分はフロア後方で立ち見でしたが、運良く楽屋からステージへの導線に近い位置に立っていたので、行き来する山出さんを至近距離で見ることができました。(卒業写真集のお渡し会には参加していないので)舞台の上以外で初めて近くに見た山出さんは、とにかく小さい!華奢!という印象。いや、身長がという事ではなく(笑)、舞台の上での彼女はやはり表現者としてのオーラを発揮しているんだな、と改めて感じたのでした。


小さなステージの上、サポートギタリストの太田貴之さんが上手・山出さんが下手に置かれたピアノに向かい、ライブがスタートします。一曲目は「ふたりことば」。最初の一音から感じたのは、アルバム音源やさくら学院祭での演奏と比べて柔らかに滑らかになったこと。自身でも「タッチが強い」と言っていたピアノの音もより優しく響き、産まれてから流れた時間の中でこの曲がとても自然に昇華してきた事を伺わせます。2曲目、シングルのタイトル曲ともなった「スマイル」はシンプルな構成で歌詞がストレートに届きます。ギターの太田さんとのインプロビゼーションも楽しく、今後バンド形態などでの演奏も期待してしまいます。

 

「夏らしい曲を唄いたくて」という短めのMCに続いて、「ひまわりの約束」(秦基博)。そして続くaikoさんの「カブトムシ」は、この昼公演の中で個人的に最も印象に残った一曲でした。aikoさんに関してはポップなキャラクターや耳馴染み良い楽曲の裏側に時々ハッとする鋭さを見せるアーティスト、という印象です。「カブトムシ」も決して甘さだけではない難しい歌だと思うのですが、山出さんはオリジナルよりも少しだけテンポを落とし、一言一言を刻み込むようにこのaikoさんの代表曲を見事に唄い上げます。

 

"形"としての完成度も勿論高かったのですが、驚かされたのはその情感の豊かさです。それは瞬間的に凄みさえ感じさせるほどで、これからどんどん拡がっていくであろう山出さんの表現世界の一端を見たような気がしました。続く「ひらり ひらり」では、さくら学院として過ごしていて色々あった去年の夏を思い出します…という「2017年度の夏」を知っていれば自ずと感慨深くなってしまう山出さんの言葉。完成形となり更にクオリティが上がったこの曲を聴いている時も、様々な意味で時間の流れを感じさせられました。

 

 ここで山出さんはピアノから離れ、太田さんのギターのみをバックに「君はロックを聴かない」(あいみょん)、「One more time、One more chance」(山崎まさよし)の2曲を披露。この日選ばれたカバー曲はいずれも簡単なものではなく、表現の幅を広げるチャレンジという意味もあるのかな…などと勝手な推測も。そして太田さんが退場し、本編ラストは山出さん独りで初の自作曲である「大切な君へ」の演奏となりました。「今日のお昼くらいにめぐがツイートして。あの人、宿題の事は何にも言ってこないのに、こういう時ばっかり!(ちょっと間を置いて)…嬉しかった(笑)。これSNSとかに書いちゃダメですよ!めっちゃ(エゴサして)探すからね!!」という微笑ましいMCに続いて、優しさと透明感に溢れた歌声とピアノの音色が満ちていき、ライブ本編は終了となりました。

 

アンコールで再登場した山出さんはまずご自宅の姿見鏡にまつわる小噺を披露し、まあなんでもない話でした、という〆から「なんでもないや」(RADWIMPS)へ。そして最後はBEGINの上地等さんをゲストに迎え、制作途上の新曲が演奏されました。「この曲にはみなさんと一緒に歌うところがあるんです!」と嬉しそうに言って、観客にコーラスパートをレクチャーする山出さん。「2番のサビで歌ってそのあと3回繰り返すけど、声が出てなかったら出るまでやるから!」とこちらとしては嬉しい限りの指示が。ステージ、フロアにいる全員で「また会えるその日まで  楽しみにしてる♪」という歌詞を何度も繰り返し、幸せのうちにライブは終了しました。

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 山出さんをリアルタイムで追いかけ始めて(=自分が本格的に「父兄」になって)まだ1年も経っていないし、ソロライブを観たのはもちろん初めてでしたが、この1時間ほどの時間でもその才能と人間的魅力はしっかりと伝わってきました。まず感じたのは、やはり彼女はしっかりしている、ということ。山出さんは経験を自分の中に引き出しとして備える事ができる。かなり詳細な情報として。そしてその引き出しから必要なものを取り出し、楽曲や舞台上のパフォーマンスに反映するという事ができているような気がします。

 

自作曲を披露するたびに深まっていく表現。その裏に隠れた研鑽と努力。カバー曲に向き合う時の誠実さと楽曲への愛情。唄うということに向かう真摯な姿勢。そういった彼女の「しっかりした」部分に加えて、新曲を巡る観客とのコミュニケーションで見せた天性のフレンドリーさ。愛すべき「押しの強さ」。その絶妙なバランスは間違いなく彼女の魅力の核なのだと思います。更にはTwitterを初めとするSNSツールをとてもうまく活用している山出さんらしさ(新曲に、ファンにはお馴染みの「いつものボーダー」というような歌詞が入っていたり)も感じられるライブでした。

 

さて、僕はLIVE Diaryというネーミングを初めて目にしてとてもいい名前だなあと思ったのですが、実際にライブを観てこれほどぴったりくるとは思ってもみませんでした。楽曲が育っていく過程や、山出さんが自分の中に蓄えている様々な経験が舞台上での表現に反映される実感。小さな現状報告や、SNSでの発信とライブの現場が繋がるリアルタイム感。まさに音楽に彩られたカラフルな「日記」をライブハウスでみんなで眺めているような素敵な1時間でした。この規模、このスタイルがいつまで続くのか分かりませんが…(そして、存外に早く山出さんが次の段階へ到達する予感がひしひしとしていますが)、今はもう少しだけ、この距離感を楽しむことができたらいいな、と思います。

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Aiko Yamaide LIVE Diary Vol.1(昼公演)
8月19日 13:00~ 渋谷gee-ge

1.ふたりことば
2.スマイル
3.ひまわりの約束(秦基博)
4.カブトムシ(aiko)
5.ひらりひらり
6.君はロックを聴かない(あいみょん)
7.One more time、One more chance(山崎まさよし)
8.大切な君へ
EN1.なんでもないや(RADWIMPS)
EN2.新曲

 

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写真引用:Billboard Japan http://www.billboard-japan.com/d_news/detail/66806/2